イタリアのデザイン教育機関及び授産施設等の視察報告③

159月 - による Author - 0 - ART WORKS WORKSHOP

 

□蓮池マキオ氏(インダストリアル・デザイナー)との対談

ビーズ素材と針金を使ったイラストレーション 50x35x10cm(ビーズデザイン展@ギャラリー広尾、1998年6月)

H(蓮池氏):今、ミラノの芸術系学校にはデザインコースがありすぎます。ミラノでデザインコースが出来たのは1970年代半ばに1年制〜2年制でスタートしました。建築家として卒業していく学生が多く、その中にデザインはこういうものだということを教えていました。

それが80年代までです。ミラノ工科大学では最初エンジニアリングと建築→技術やヒューマニスティックな考え方の移行があり、その中でデザインが教えられるようになっていきました。そのうち小さなデザインスクールが出来るようになっていきました。イタリアで正式な大学が出来るには文化としての総合的な様々な学科やカリキュラム、施設、設備が必要となるため、私立大学をつくるのは難しかったのです。大学は殆ど国立で、卒業試験30科目をパスしなければならない。

針金による立体イラストレーション 50x35x10cm(1998-1999)

O(おーくん・あきら):日本の大学と違って卒業までの就学にはなかなか色々なハードルがあって学生も大変ですね。ところで日本の大学は専門学校化していますが。

H:こちらも同じです。新しいことはやってみるが、昔は学術的なものが強かったんです。でも最近は実用化です。学生が社会に出て使いものになることが大切になってきています。今デザイナーはなんでもやれる人が少なくなってきています。

O:それは、専門分化しているということですか?

 

 

針金による立体イラストレーション 50x35x10cm(1998-1999)

H:ミラノでは10種類くらいの専門に分け、プロフェッショナルな感じが格好良く見られる傾向にあります。専門に分けた学校案内のほうが格好よく受験生にうける訳です。細分化することは、学校案内のつり餌のようなものです。全体としては戦後学生の数は増えています。戦争直後の日本とイタリアの大学卒業者はエリートだったので大卒の肩書は格好良かったけれど、今はそれは普通のことなので、肩書きをかくして専門性だけ目立たせる方向にあると思います。

O:そうですね、専門にこだわる部分は日本でも変わりません。

 

針金による立体イラストレーション 50x35x10cm(1998-1999)

H:それと、ミラノでもマスターレベルを卒業した者が仕事が出来ないんです。仕事に向かう前に逃げてしまう。

O:それは、基礎体力とも関係していませんか?私はデザイン教育の中でいつも専門の隣には基礎を、と悩んでいます。

H:建築、デザイン、ファッション、アート、技術とは何なのか?ある程度いつも考えるという自覚が必要です。これは難しい問題で、ベーシックをわすれてしまうというか、何がベースなのかを忘れてしまいがちです。