デザインのエレメントと素材②

49月 - による Author - 0 - ART WORKS COPY-ART

 

事務用複写機で表現したCOPY-ART(複写機の光源の移動と同時に手を自由に動かす)

デザイン研究において、作品制作発表の上でも、あるいはデザイン批評でも素材に注目してきた。デザインエレメントの中でも中心的存在なのが「TEXTURE」であり、興味の対象は大きく言えば「MATERIAL」である。素材が発想を変え、しいてはデザインを大きく変えるという事実を多く体験し、垣間見てきた。

例えば、素材がそのデザインに与える影響というものはどういうものであろうか。我々は多くのデザインされたものに囲まれ、それを使って生活しているが、その使い勝手についてはそれぞれが様々な感想を持っていると思う。

使い易い、使いにくいの判断の多くをどこでしているのだろうか。人間工学的に言えば、その中心判断は「FORM」にあり、特にそのデザインの外形に責任が委ねられる事になる。その判断はもちろん直接的で確認しやすいデータとなるが、長年使用するという事を見逃す場合もある。

デザインにおける素材感は、直接的な影響も与えるが、潜在的要素として、じわじわと使用者に使い心地の良さを与えたり、逆に不快感をもたらす事を忘れてはならない。なぜならデザインへ対する人間の触覚的判断の重要性を意味するからである。今ここでは、触覚的判断を時間的経過の中で捕らえる事の面白さを言っている。

デザインに限らず、芸術作品は全て素材の支えが必要である。しかし、デザインの場合は単なる支えではなく、作品の一部ともいえるし、付加的要素ではなく本質とさえいえる。これを音楽で考えてみると、音色あるいはそれぞれの楽器の音質は作曲家が扱わねばならない素材と言えるだろう。ある楽器の為の曲が作られると、それを他の楽器用に編曲しても、ぎこちない不満足なものになる事がある。例えば弦楽器中心に作られた楽曲を管楽器のみで演奏したら、聴き心地は相当悪くなる訳である。

人間の視覚と触覚には興味深い関係がある。普通はその素材を手あるいは身体で触れる事により素材感の最終確認をするが、数十年という触覚体験を得る事により、素材を観察しただけで、ある程度の素材感の判別を行い、時にはかなり微細な判断を下すこともある。つまり、これは絵画等のタブローやグラフィック等の平面作品においても素材感のもたらす視覚的影響を物語る事になる。

 

引用資料:デザイン学会教育部会発表資料(1993年9月24日)