デザインのエレメントと素材①

108月 - による Author - 0 - ART WORKS COPY-ART

 

事務用複写機で表現したCOPY-ART(一度複写したコピーに皺をつけてもう一度コピー)

「デザインは、その関心にもとづき、理論的な選択とその配列を考えるもの。」これは、数年前あるセミナーでお会いしたアメリカの著名なデザイナーLeo F.Monahan氏の言葉である。ごく単純に語られたこの言葉の内容には、デザイン活動あるいはデザインを表現していく者たちにとっての様々な啓発が込められている。

これまでに執筆者は、自分自身の実践的デザイン体験、デザイン教育に関する体験とそれに基づくデザイン観について著すとともに、デザイン研究会、講演、雑誌等に「デザインと素材」及び「デザインと発想」に関する発表を続けてきた。最近では企業を含め直接関係のない一般を対象にデザインを解り易く紹介する機会が増えている。しかし、そういう活動の中で、デザイン本来が持つ性質や魅力を表面的に伝えている事に気付く。

素材と発想とデザインの関係にこだわり続けてきた本人にとって、その3者を結ぶ本質―つまりエレメント(要素)が見えなくなってきた現在、もう一度それを掘り起こす必要が出てきた。

今回は、ベーシックデザインの要素及びそのコーディネーションの要素について、Leo F.Monahan氏の助言をもとに考えなおし、デザインを「言葉」により考えるという事を見直したい。また、本人がここ数年で携わった仕事の中でのデザイン的要素の分析も若干行いたい。


ベーシックデザインの7要素

LINE…線、すじ
SHAPE…形、姿
FORM…型、外形、姿
SPACE…空間、空所
TEXTURE…素材感、特質
VALUE…明度、評価
COLOR…色彩、着色

上記の7要素は、その関心の対象となった事物に対して、様々な理論を通じて組み合わされてデザインとして配列される事になる。この7要素の配列を足場に、次のコーディネーションを加える事によりデザインの応用表現が拡大される事になる。


ベーシックデザインの7要素

プロポーション(均衡)…「balance」あるいは「equilibrium」とも言える。デザインの不安感の震源はプロポーションにある。

コンティニュエーション(目線)…視野、視点と関係してくるが、同一デザインでも特にFORMが変化してくる事になる。

ネガティブ+ポジティブ(陰と陽)…特に明度との関わりが出てくるが、SHAPEあるいはFORMとしてのネガティブ、ポジティブも考えていかねばならない。

リピテーション(反復)…「again and again」。リピテーションは、テキスタイルデザインなどにもみられるパターンを生む。

バリエーション(対比)…変動、変化量とも言うが、リピテーション(パターン)に減り張りや抑揚が生まれる。

ディレクション(方向)…「course」という考え方もできる。デザインには必ず方向があり、それを明解にする事により様々にデザイン性が問われる事になる。その要素として、「LINE」や「VALUE」が深く関わるようになる。

トランズイション(変遷)…変化(Changes)あるいは推移と捕らえる事もできる。これはバリエーションの量的なものではなく、流れ、移動の伴うデザイン内容である。

メインとサポート…「Control+Subordination」と考えても良い。主従関係はデザインに緊張感をもたらすだけでなく、いわゆる物語性を強調する事も可能になる。「SHAPE」及び「COLOR」の要素が重要。

アクティブとパッシング(活動と受動)…「Action+Passive」とも言えるが、これは⑧の「メインとサポート」における形態的意味ではなく、時間的意味を深く持っていると考えられる。ベーシックデザインでの要素の中では、「SPACE」、「TEXTURE」が大切になってくるのではないだろうか。

プログレスとコンセルバティブ(進歩と後退)…この場合「後退」は停滞あるいは保守という静止した状態を示している。つまりデザイン画面上に定着した様子である。「メインとサポート」、「アクティブとパッシング」、「プログレスとコンセルバティブ」の3要素は、いずれも比較の問題であるが、特にこの「進歩と後退」はデザイン表現の様々な場面で大きな効果をあげる表現要素であろう。