ほろ酔いインタビュー

19月 - による mijomijo - 0 - ESSAY

 

イラストレーションによる屋外キャンペーンディスプレイ 7x6x41(東京デジタルホン、1997年9月)

「お酒は自分の感情を表現する媒体になるよね。楽しいのをさらに楽しくするのもお酒、ツライとき死ぬのを止めさせるのもお酒なんだよ。飲んでゲロ吐いて潰れちゃえば、とりあえず死にに行けない。

元気そうに見える僕でも死のうと思ったことがあります。そういうときに酒に助けられた部分がある。そんな使い方でも僕はいいと思う。

授業でも学生に話すね。

『ひとりぐらい今、死にたいと思っている奴いるだろ?』って。死にたいと思ったら、『もう1回いい女、いい男といい酒を飲め』と。そうすればワンクッションおけて、もうちょっと先まで生きられるからと。飲んでいるときとかセックスしてるときなんて死にたいと思わないモンね。それは生命力ですよ。これはヤケ酒ではないの。そのくり返しなんだよね、生きるなんて」

まったく素のままでやって来たおーくん。とにかく元気印だ。あと2年でうん歳とは思えぬほど若い!「飲まれますか」と嬉しいことを言う。まず、手始めに当センターとっておき「半蔵純米吟醸 生原酒」しかも7年ものからいきましょう!

「コクがとってもあるね。あ〜美味しいや。サルーってスペイン語で乾杯、健康っていう意味なんです。健康って言いながら向こうでは飲みすぎでバタバタ倒れている(笑)。

日本酒は飲みやすくなった。初めてお酒を嗜んだのは高校の頃、飲むと違うところにいける、っていうのがあったの。

大学生の頃は体力、体力で飲んでいた。暴れて振られたって経験もあったね。酒の力を借りて彼女の前で失敗して、三行半が(笑)。こんなめちゃくちゃな人とは付き合ってられないって。

何故かお酒と水には縁が深くて皆で大学のプールに飛び込んだ。よく死ななかったなぁ、と。自分が飲まれもしたけど、逆に飲まれた奴の介抱や救助もよくしました。日本赤十字の救急免許を持っていたから、酔っ払いながらも手当てしてましたね。

当時は、翌日駄目になるために飲んでいたようなもんだから(笑)。日本酒が1番、悪酔いした。お酒というとゲロ、飲んだら吐く、吐いてまた飲むという感じだった。味わいという部分では30歳過ぎてからですね。体調と気分、仕事の内容によって飲み方は変わってきた。飲めるときは調子がいい。飲めないときは無理に飲まない。自然でいいと思う。まあ人生のバロメーターになっているよね」

 

「J-PHONEキャンペーン」雑誌広告デザイン/週間「ぴあ」・「POPEYE」等に掲載

「よくおーくんは好きなことやってていいな、って言われる。でも好きなことをやれるようにしただけ。ちょっとした創意工夫で面白くなっちゃうんですよ、生き方。

好きなことやっているとね、倍ぐらい嫌なこと言われたりもするよ。噂はするよりされろ、人の噂したらおしまい。自分に興味があって自分のことしていたら人のウワサする暇はないの。

僕は、モテたいからデザイナーになった。子供の頃はちょっと絵が上手かっただけ。おだてられると木に登るでしょ。きっかけや動機は不純でいいんです。なるのは簡単、続けることが難しい。辞めないやつが勝ちなんだよ。そうすれば何か結果が出るんだよね。10年経ったら見えてくる。仕事ってそういうモンだから。

努力は意識しちゃいけないの。努力して努力するのは、努力じゃないんだよ。

いろいろ面白がってやっていたら、結果的に努力じゃんっていう感じ。量は質に転換します。要は数をこなすこと。するとボンと突然、いいインスピレーションが降りてくる。どんな天才でもすぐいい物は出来ないよね。皆、水面下でバタバタやっているわけ。

好きなことするにはもちろん嫌なこともしなくちゃいけない。けど仕事と遊びって案外そういう区分けをしなくてもいいと思う。人生を生きている上で仕事も遊びも繋がっているでしょ。そんな感覚を持てばもっと楽しく生きられるよ」

はて?只今何時だ。おーくんは1時にご来店。本誌取材後、某パーティに直行とのことだが…。久々の本誌基本スタイル、酒を交えての放談にこちらは浮き足立ち時間を忘れる。いやあ楽しい。もうパーティには行かなくてイイです(笑)。編集部は次々にあれやこれやと酒を放出。どんどん飲りまくりましょ。そして「白梅」登場におーくんは…。

「甘さと辛さがあるね。ただ飲みやすいだけじゃなく、酒のクセもある。絶妙な位置をとったバランスってすごいよ。日本酒界の綱渡りサーカスだね(笑)。

酒の肴って50%以上相手だよね。それで肴になっちゃうし安酒でもいいの。あとお酒って飲む人のセンスが出るから、いい女かどうかも分かると思う。飲んでいて女性に、白黒つけられると一気に酔いが醒めちゃうけど(笑)。粋とかわびさびの言葉に美的、生活センスが全部集約されるの。変にカチカチじゃないリラックスしたセンスがあるかないかだね。

僕はね、鍋が好きで、日本酒を飲んだ方がいいよっていうぐらい入れる。具も柔らかくなるし美味しい。あとね、そばが好きなんだけど、よくそばつゆを作る。それにもかなり日本酒を入れます。

今の若い人で知っている人いるかな? 昔のそば屋は飲み屋だったんだよ。飲んで最後にそばをガッと食うというね〜。肴の延長戦上にそばがあった。天抜きそばにお銚子1本頼むよ! って分かる? 天抜きっていうと天ぷらと同割にした汁だけ持ってくんの。もうひとつ言うとね〜、鴨南蛮の鴨抜きってあるんだよね。鴨とネギだけ持ってきて、それを肴に飲んで、残り汁でそばを食べる。イキでしょ?そういう情緒があったんだョ」

 

「現在の湘南のアトリエを含めてプライベートミュージアムを作るのが大きな夢なんだけど、デザインの仕事以上に教えることが天職だと言われる。僕が面白いと思ったことをデザインを含めて学生らに伝えていきたいよね。

あと、昔から変わらないことってあるからそれを教えたい。僕の授業って子供みたいなんだけどあいさつから始まる。おはようございますって学生が小さい声で言うと、10回でもやり直させる。ちゃんとあいさつできない奴が会社に入れるわけないだろ、っていう基本から始まるんです。

能力がなくても、お前がいると事務所の雰囲気が明るくなるから、居て欲しいという方が将来伸びるんだよ。技術、性格、責任とか気にしないでキャラを磨けと。上手くなれとか言わない。とにかくいいコミュニケーションのキャッチボールが出来るキャラクターを作れってことだけだね。

私は人見知りで…って学生に相談されることがあるんだけど、僕自身が大学時代、赤面症の対人恐怖症だったけど今こうだぞ、ということを教えてやるの。

自分の好きな仕事を選べば、自分の人生人格さえ変わってくるし変えられるんだよ。

今の人達に足りないものはね、これを言うと変じゃないかとか間違っているかな、とか気にするでしょ。自分はどう思っているかが大事、言える人が少ない。それをトレーニングしていかないと、個性って育たないんだよね。――まあ、どんどん飲んでくださいよ!といっても僕のお酒じゃないけど(笑)」

 

取材後記:ハイ、どんどん飲み升!と6時間もの間飲らせて頂いた。傍らで編集長は爆睡(笑)。私もロレツが回らず途中から記憶もない。お陰様でゲロも吐いた。インタビュアーとしてこれでいいワケジャなし(汗)。おーくんのこちらに対する気配り、目配り、思いやり、そして飲みっぷり!に人間の優しさを感じた。また飲りたいデス!

(取材・構成 徳田博美)