この職業が私のキャラクターを変えた

48月 - による mijomijo - 0 - ART WORKS ESSAY GRAPHIC POSTCARDS

 

学校の入試面接で、なぜデザインをやりたいの?と聞いたら、だいたいの人が小さい頃から絵が好きだったからというんだよね。

僕は油絵をやろうと思って大学に入ったんだけど、なぜデザインに変わったかというと、デザイナーは人間関係、社会的なつながりがはっきりしてる所が面白いから。絵かきとか芸術家は作ろうかなって思って作れば芸術になる。デザイナーは頼まれてから作る。そこが違うんです。恩師がこう言っていました、「デザインというのは人から頼まれてなんぼのもんだぞ」と。こんな自分を必要としてくれる人がいるということに感動しちゃって、これこそ僕の仕事だと思ったんです。基本は人との関わりでしょ。美術はある種の無の境地になって内的なものを表現するけれど、デザインは外的な関係を生かして表現するものだからね。デザイナーという職業を前面に出して人に接するようになってから、人見知りだった自分のキャラクターが変わったぐらいですから(笑)。

デザインはまず誰かに頼まれるという事実があって始まる、という面白さを見つけてほしい。自分自身の存在証明をするにも、絵描きよりデザイナーの方が明快ですし、人間というのは、制約や約束事があるからこそ、新しくて自由な発想がどんどん広がってくる。デザインの仕事はそこが面白いんですよ。

僕はいつもナンバーワンよりオンリーワンになれと言っています。どこそこの世界で1番になってもオリジナリティは生まれない。その世界を自分で作って、そこに自分一人いればそれでオリジナリティだよね。ナンバーワンになっても二番手にいつ追い上げられるかわからない。そういう世界で戦々恐々とやるのもいいがそれは縦割の社会と何ひとつ変わらない。それこそパイオニアと呼ばれる人達は、無い所に作ってきた。今は難しい時代で、ほとんど出尽くして隙間のない感じがしますが、それでも隙間は小さくても絶対あるはずなんです。そこを狙っていくエネルギーが必要です。人間は組織の中にいると本当のことが見えなくなってくる。だから在野でいることが大切なんです。そういう気持ちを持ち続け、客観的にものを見るのもクリエーターにとって大切なんです。

僕がこれからデザイナーを目指す皆さんに伝えたいのは、まずひとつには、グラフィックデザイナーになって本当によかったという感動。そして、継続は力という言葉。

デザイナーになるのは簡単だけど、10年20年続けるのは難しい。3つめに量が質に転する、ということです。知識や技術も必要だけど、何より大切なのはこういったクリエーティブのプロとしての考え方です。イメージを持ちつづける感性と精神力が大切なんですね。現在は、バブルがはじけた後、物から事の時代になってきた。創意工夫、それこそデザインの時代です。今の社会はデザインと一緒に生活しているようなもので、本当の意味でデザイン的な考え方ができる生活が求められています。これからはいいモノをいかに作っていくか、物と人の関係を考えるデザイナーが必要です。